再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「俺も遊覧船に乗るのは初めてかな。普段は空を飛ぶことが多いけど、海の上をゆったりと進むのもいいな」
「空?」
首をかしげる私に秋村さんが教えてくれる。
「パイロットをしてるんだ」
さっきは航空自衛隊の基地で働いているとしか聞いていなかった。まさかパイロットだったとは……。
「すごい……!」
「いや、すごくはないよ」
獲れたての魚がご飯の上に盛り付けられた海鮮丼を食べながら秋村さんが苦笑した。
「そういえば、どうして自衛官になろうと思ったの?」
話の流れでふと気になって尋ねる。
食べる手を止めた秋村さんがゆっくりと口を開いた。
「憧れの部隊があるんだ」
「憧れ?」
「アクロバット飛行を披露する専門のチームが航空自衛隊にあって、そこの隊員になるのが俺の子供の頃からの夢」
凛とした目で話す彼に引き込まれるように視線が逸らせない。
「でも、選ばれるのは一握りだけ。戦闘機操縦者で、その中でも高度な技術がないといけない。他にもいくつか条件を満たしたうえで声を掛けられれば所属できる狭き門なんだよな」
「そうなんだ。すごい人たちの集まりなんだね」
選ばれし者たちということだろうか。
秋村さんの夢は叶えるのがとても難しそうだが、その話をする彼の表情は生き生きとしている。