航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


小学校の頃からの親友でもある彼女は、目鼻立ちのはっきりとした顔で、身長は一六九センチと高く、抜群のスタイルの持ち主だ。

ここが東京のような都会なら絶対に芸能事務所からスカウトされているに違いないと思うくらい明日香には華がある。

比べて私はこれといった特徴がない。

一六四センチの身長は高くもなく低くもなく、同年代女子の平均並み。

目は二重だけれどタレ目だし、丸顔のせいもあって実年齢よりも幼く見えてしまう。

髪型とメイクを変えてみようとも思うが、残念ながら今の私には美容代と化粧品代に費やせるほどお金の余裕がない。

訳あって無職なのだから節約しないと。


「美羽、遅いよ~。来ないのかと思った」


ツンと唇を尖らせた明日香に「ごめん」と顔の前で両手を合わせる。


「出掛けようとしたタイミングで電話がかかってきて」

「誰から?」

「昨日面接を受けた会社の人事担当から……」


内容を思い出してずーんと気分が重くなる。

それが表情に出ていたのだろう。続きを言わなくても明日香は察したようだ。


「もしかしてまた不採用?」

「その通り」


勤めていた会社が倒産したのは先月末のこと。

新しい職場を探しているけれどうまくいかずに連敗中だ。


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