航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


「付き合ってはないよ」


美羽の代わりに俺が正直に今の俺たちの関係を伝えた。

「そっか」と呟いた羽琉の表情が暗くなる。その頭にぽんと優しく手を置いた。


「でも、俺にとって美羽は今でも大切な存在なのは変わらない。もちろん羽琉も。だからこうしてまた会いにきたんだ」


嘘はついていない。

別れてからも俺にとって美羽はかけがえのない存在だし、正直に言うと今でも好きだ。

美羽の弟である羽琉のことも本当の弟のように思っている。

俺の言葉を聞いた美羽が目を見開いて驚いた顔をしている一方で、羽琉は「そっか」と呟いてにこりと満面の笑みを浮かべた。


「そういえば悠翔さん。俺、あのゲームクリアできたよ。ほら、前にふたりでやったときに苦戦したやつ」

「ああ、あれか」

「あのゲームの新作が出て、今はそれをやってる。今からうちに来て一緒にやらない?」

「えっ」


思いがけない誘いにきょとんとした顔をしてしまう。

ちらっと美羽に視線を送る。

彼女が俺と羽琉のもとにゆっくりと近づいてきた。


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