再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「ごめん。ちょっと時間がかかった」
十五分ほど経ったところでリビングの扉が開き、悠翔が戻ってきた。
少し疲れ切った顔をしているように見える。
ソファに座る私の隣に腰を下ろした彼からは、おそらく無意識で出たのだろうため息がこぼれた。
「なにかあったの?」
ただならぬ気配を感じて尋ねる。
おそらく先ほどの電話でなにかがあったのだろう。
ちらっと私に視線を向けた悠翔が、困ったように眉を下げて笑った。
「最近、母からの電話がしつこいんだ」
「お母さんから?」
「ああ。見合いを強要されて困ってる」
お見合い……。
そういえば悠翔の実家が会社を経営していることを思い出した。
お父さんが社長をしていたが不慮の事故で亡くなり、現在はお母さんが社長業を引き継いでいると聞いたことがある。
たしか航空機を使用して客や貨物を運送する航空運送事業を営んでいるはず。
東京に本社があり、地方にもいくつか支社があるほど業界内ではわりと大きめの会社だ。
一般的な家庭で育った私からすればお見合いなんてめったにない話だけれど、御曹司である悠翔にとっては普通のことなのだろうか。