再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!


「また誘ってもいいか」

「えっ、……あ、うん」


このデートは悠翔のお母さんの前で違和感なく婚約者として振る舞えるためのもの。

だから次もそういう意味で誘われているのだろう。

わかっているけれど一瞬期待してしまった自分が恥ずかしい。

今の私は悠翔の恋人でもなんでもない。

元カノで、仮の婚約者なのだから……。

事実なのに、胸がツキンと痛んだ。


「じゃあ、またね」


助手席の扉に手をかける。

そのまま車を降りようとしたのだが、扉に触れている手とは反対の腕を掴まれてグイっと引っ張られた。

驚いて振り返ると悠翔の顔がすぐ目の前にあり、唇を温かいものに塞がれる。


「……んっ」


一度離れた悠翔の唇が再び重なった。

優しく吸い付くように触れて、そっと離れる。


「デートのあとはいつもこうしてただろ」


お互いの鼻と鼻が触れ合いそうな距離で見つめられ、トクトクと鼓動が速くなる。

付き合っていた頃、私を家まで送ってくれた悠翔の車の中で、別れ際にいつもこうしてキスをしていたことを思い出した。

きっとこのキスも母親の前で私たちが自然に婚約者として振る舞えるようにという意味を込めたものだろう。


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