航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました
「あとで話すからもう少し待ってて」
明日香はそう言うとにこりと笑った。その隣で亮二さんもにこにこと笑っている。
「ごめんね、美羽ちゃん。もったいぶってるわけじゃないんだけど、もうひとりここに呼んでるから、そいつが来たら話すよ」
「もうひとり?」
今日は三人だけだと思っていたので、きょとんと目を丸くする。
あとから来るもうひとりって……?
私の予想だとふたりの大事な話というのは結婚の報告だろうからその人も一緒にそれを聞くのだろう。それか、結婚報告だと私が勝手に思っているだけで別の話をしようとしているのかもしれない。
「誰が来るの?」
まったく予想ができない私に対して、明日香と亮二さんは顔を見合わせて笑うだけで教えてくれない。
「来ればわかるよ。美羽と同じくらいその人にも感謝してるから、私たちの話を一緒に聞いてほしいの」
「わかった」
明日香に言われて渋々と納得する。
とりあえずその人の到着を待てばいいのだから。
でも、もうすぐ私たちの食事も終わってしまう。それなのにもうひとりが姿を現す気配はない。