再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!

彼の仕事




 *

一ヶ月が過ぎ、季節は六月になった。

今日は地元で開催される大きなお祭りの日で、そのイベントのひとつとして航空自衛隊のアクロバット飛行チームの演技が予定されている。

上空は薄い雲に覆われているものの青空も見えて天気は晴れ。

この様子だと予定通り演技が披露されるだろう。

会場に到着した私は、はやる胸を抑えるのに必死だ。


「なんで姉ちゃんがそんなにドキドキしてんだよ」

「だって緊張するんだから仕方ないでしょ」


会場内を歩きながら、隣から呆れたように声をかけてきたのは弟の羽琉だ。暇そうだったので連れてきた。

そわそわと落ち着かない私を見て軽く溜息をこぼしている。


「悠翔さんたちの演技までまだ時間あるんだから落ち着けよ」

「わかってるよ」


小さく深呼吸を繰り返す。それでもやっぱり胸のドキドキは止まらない。

これから悠翔の演技が見られると思うと楽しみだ。それと同時についにこの日が来たのだと胸が熱くなる。

悠翔と付き合っている頃から、彼が憧れている部隊の一員として空を飛ぶ姿を見てみたいと思っていた。

別れたことでそれはもう二度と叶わないと思っていたのに、まさか叶う日がくるなんて。


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