航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


「五さい」


りこちゃんが指を五本立てて自分の歳を教えてくれた。


「おねえちゃんはなんさい?」

「私は二十八歳だよ」

「あっ、りこのママとおんなじだ」

「そうなの?」


まさかりこちゃんの母親と同じ歳とは……。

私にもこのくらいの年齢の子供がいてもおかしくないのだと軽く衝撃を受ける。

その後も話をしながら歩き続け、ようやくスタッフのいるテントを発見。

迷子だと伝えてりこちゃんを預けようとしたけれど、彼女の小さな手が私の手をぎゅっと握って離さない。


「お姉ちゃんもここにいて」


どうやらここに連れてくるまでの間に懐かれてしまったらしい。

りこちゃんの両親が迎えにくるまで私も一緒に残ることにした。

少ししてから迷子の案内が放送される。

それから数分後に上空から轟音が響き、悠翔たちの部隊の展示飛行が始まったのだとわかった。

りこちゃんと一緒にテントの中にいるため、残念ながらここからだと空がよく見えない。

そんなぁ……と、心の中でため息がこぼれる。

しょんぼりと肩を落とすけれど仕方がない。

せめてりこちゃんの両親が早く来てくれることを祈るばかりだが、彼らが来たのは展示飛行が終わったあとだった。


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