再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「ごめん! 動画撮れなかった」
「えっ⁉ 嘘でしょ」
思わず羽琉に詰め寄る。申し訳なさそうに羽琉が口を開いた。
「撮ろうとしたんだけどスマホの充電切れた。もともと瀕死状態だったんだけど、待ってる間暇だったからゲームしてたら電源落ちてさ」
なにそれ。
ゲームさえしなければ瀕死状態のスマホでも充電がまだ少し残っていたんだから、ちょっとは動画が撮れたはずなのに。
「もう本当にゲームやめて!」
羽琉の肩をがっしりと掴み、強めに訴えた。
けれど羽琉には響いていないようで、ヘラヘラと笑いながら「ごめんって」と軽い謝罪の言葉を口にする。
笑い事じゃない。
私がこの日をどれだけ楽しみにしていたことかと、嘆いたところで時間は戻らないのだから仕方がない。
「あっ、でもこのあとファンサービスみたいなのがあるらしいよ」
しょんぼりと肩を落とす私に明るい声で羽琉がそう教えてくれた。
「ファンサービス?」
たしか悠翔と付き合っていた頃に行った自衛隊の航空祭で、アクロバット飛行チームの隊員たちが展示飛行を見にきていたファンの方たちにサインをしたり、一緒に写真を撮ったりしている光景を見た覚えがある。
あれのことだろうか。