航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


亮二さんがスマートフォンを取り出した。


「午前中は予定があるからお昼過ぎてから来る予定にはなってるけど、それにしても遅いな。予定が延びてるのかもしれない」


どうやら到着に少し遅れているらしい。

とりあえず三人で食事を済ませ、食後のコーヒーを飲んでいたときに亮二さんのスマートフォンが音を鳴らした。

確認した彼が「やっと来た」と呟いて立ち上がる。


「近くまで来たみたいだから迎えに行ってくる」


そう言うと亮二さんは走って行った。

遅れているもうひとりがようやく来たようだ。


「ねぇ、美羽。ひとつ確認したいことがあるんだけど」


明日香とふたりきりになった途端、改まったように彼女が口を開く。


「美羽って今、彼氏いないよね」

「え? うん、いないよ」


どうして今その質問?と、疑問を浮かべる私を見て明日香がホッとしたように息を吐いた。


「だよね。美羽に彼氏がいないのは知ってるんだけど、念のために確認しただけだから気にしないで」


そう言われても気になる……。

私の恋愛事情なら親友の明日香はすべて知っているはずだ。中学の頃の初恋相手から、三年前に別れた元カレのことまで。


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