再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
どうしよう。緊張してきたかもしれない。
隣を歩く悠翔に聞こえるのではないかと思うくらい心臓がバクバクと音を立てている。
悠翔のお母さんの前で婚約者役をしっかりと演じられるだろうか。
「あ、そうだ美羽」
不意に悠翔が私の左手に触れる。
立ち止まると、向かい合った彼が私の薬指にすっと指輪を通した。
「婚約者なんだから、これがないと怪しまれるかもしれないだろ」
私の左手薬指には一粒のダイヤモンドが輝く指輪がある。シンプルなデザインだが、きらきらと眩い輝きを放っていた。
見惚れてしまうが、ふと我に返る。
「こんな高価なものつけられないよ」
いわゆる婚約指輪だ。きっと高級なものに違いない。
わざわざ今日だけのために用意したのだろうか。
焦る私に悠翔が微笑む。
「でも、それをつけてもらわないと母さんに疑われるかもしれないだろ。そうならないためにも、美羽にはその指輪をつけてもらいたい」
そう言われて、ぐっと押し黙る。
たしかに婚約指輪があった方が見た目的にもいいのかもしれない。
「……わかった」
小さくうなずいた。それを見た悠翔が満足そうに笑う。
「改めて、今日はよろしく頼むな」
「うん。頑張って悠翔の婚約者を演じるよ」