航空自衛官の元カレの偽装婚約者になりました


「しかもこんなにかわいいお嬢さんを掴まえて。美羽さんはおいくつ?」

「二十八です」

「ということは悠翔の四つ下ね。私と主人と同じだわ」


悠翔のお母さんがようやく笑みを見せた。

彼女も旦那さんとの年齢が四歳差なのだろう。私と悠翔との共通点があり、この場の雰囲気が和らいだ気がする。


「美羽さん。悠翔のことをよろしくお願いしますね」


悠翔のお母さんに優しく微笑まれて私はぴしっと背筋を伸ばした。


「こちらこそよろしくお願いします」


テーブルに額がくっつくのではないかと思うくらい深く頭を下げる。そんな私を見てお母さんからくすっと笑い声が聞こえた。

最初は強烈なオーラを放つ女性だとだいぶ身構えていたけれど、今の彼女からは優しく穏やかな雰囲気が溢れている。

私を悠翔の婚約者として認めてくれたのだろうか。

一筋縄ではいかないと思っていたけれど、あっさりと受け入れてもらえて拍子抜けしてしまった。

でも、そういえば悠翔が言っていた。

お母さんは悠翔に早く結婚をしてもらいたいだけで、相手には特にこだわっていないのだと。


「悠翔にこんなにかわいい彼女がいるなら、見合いを勧めたりはもうしないわ」

「そうしてくれ」


お母さんの言葉に悠翔がホッとしように息を吐く。

とりあえず私の任務は成功でいいのだろうか。


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