再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「美羽さんだって悠翔には安全な仕事をしてほしいと思うわよね」
「えっ……、えっと、私は……」
お母さんに意見を求められる。どう答えればいいのだろう。
真剣に息子の身を案じている彼女の前で中途半端なことは言えない。
でも、もしかしたら私の言葉でお母さんは悠翔に仕事を辞めるようさらに強く説得するかもしれない。
せっかくしつこい見合い話から解放されて、雑念なく今の部隊で飛ぶことに集中できるようになったはずなのに。
私は、悠翔には今の仕事を続けてほしいと思っている。
でも……。
「お母さんの気持ちわかります。私もこわいと思ったことがあるので」
正直な気持ちを口にする。悠翔がハッとしたような表情で私を見るのがわかった。
彼と付き合い始めた頃のことだ。航空自衛隊の戦闘機に乗る悠翔の仕事内容がよくわからなくて自分で調べてみたことがある。
一番強く印象に残ったのはスクランブル発進というもの。
日本上空周辺を飛行する他国の軍用機などが領空侵犯の恐れがあるときに航空自衛隊の戦闘機などを緊急発進させることだ。
実際に領空内に侵入してきた場合は退去の警告などを行うらしい。
それほど多くはないが、悠翔も経験したことがあるそうだ。
もしも他国の軍用機が攻撃をしてきたらと思うと、彼の身が心配でこわくなった覚えがある。
私はそのときの気持ちをお母さんに伝えた。