再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
素直になれなくて
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子供の頃、父に連れられて全国各地の航空自衛隊のイベントによく行っていた。父が熱烈なファンだったからだ。
親の会社を引き継ぎ、航空運送事業を営む父は子供の頃から航空機が好きで、中でも航空自衛隊の戦闘機が大好きだった。
自身も航空自衛隊のパイロットを目指そうとしたそうだが、家業を継ぐよう親に強く言われて猛反対された。それで夢を諦めたらしい。
それが苦い思い出のようで父は俺に『将来は自分の好きな仕事に就きなさい』とよく言っていた。
子供の頃から父と一緒に航空自衛隊のイベントに頻繁に行っていたこともあり、俺は自然とパイロットという職業に憧れを抱くようになった。
中でもアクロバット飛行を専門とする部隊の演技を初めて見たときは強く胸を打たれ、絶対にあの部隊に入りたいと強く望むようになった。
その夢を父に打ち明けたのは十四歳のときだ。
『悠翔ならできる。頑張れよ。父さんは全力で応援するからな』
父に背中を押してもらったのを覚えている。
けれど、その翌日――。
父が操縦する機体がトラブルで山中に墜落した。そのまま父は還らぬ人となったのだ。