再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
亡き父のために俺は必ず夢を叶えよう。
高校卒業後は航空学校への入学を希望したものの母に猛反対された。
夫を航空機事故で亡くしたこともあり、息子の俺には安全な仕事に就いてほしかったらしい。
けれど俺は航空自衛隊のパイロットになる夢を諦めきれず、五歳年上の姉が母をなんとか説得してくれたことで無事に航空学校へ入学することができた。
そして、厳しい選抜を潜り抜けて戦闘機パイロットの道に進んだ。昨年には憧れの部隊に配属され、ようやく夢を叶えることができた。
母がわざわざ東京から展示飛行を見に来てくれたのは、俺の仕事をようやく受け入れてくれたからだと思っていた。
けれど、実際はその逆で。いまだに反対されているとは思わなかった。
たぶん俺ひとりでは母の説得は難しかったかもしれない。でも、美羽の言葉に胸を打たれた母はようやく俺の仕事を認めてくれた。
すべて美羽のおかげだ。
まっすぐな瞳で俺の仕事について語る彼女の横顔から目が離せなかった。
俺たちがまだ恋人だった頃に抱いていた気持ちを美羽は口にしたのだろう。
初めて知った彼女の想いに俺もまた強く胸を打たれ、同時にやはり美羽が好きだと実感する。
俺には美羽しかいないのだ。
仮の婚約者ではなくて、できることならこのまま彼女と本当に結婚したい……。