再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
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悠翔の婚約者として彼のお母さんと会ってから三週間ほどが過ぎた。
あれから悠翔とは会っていないし、連絡も取っていない。
仮の婚約者ではなくなったけれど、悠翔のことが好きだという気持ちはまだある。
『偽物じゃなくて本物の婚約者になって俺と結婚するのはどう?』
あの言葉はどういう気持ちで言ったのだろう。
冗談だと受け取ったけれど、あとから思うほど悠翔がそんな冗談を言うとは思えない。
もしかすると悠翔もまだ私を想ってくれているのだろうか。
『今度の展示飛行は美羽のために飛ぶから』
思い出して胸がドキッと高鳴る。
この前は見られなかったけれど、今度は絶対にこの目で見たい。
そして、それを最後に悠翔への気持ちは捨てようと決めている。
新しい恋をする気はないけれど、いつまでも同じ人に未練を残しているのもつらいから……。
「なにさっきからニヤニヤしたり落ち込んだりした顔してるのよ」
ふと手前の席に腰を下ろしたのは明日香だ。お店の手伝いがひと段落したらしい。
今日は彼女の両親が経営するカフェでお茶をする約束をしていて、もうすぐ亮二さんも来る予定だ。