再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
『偽物じゃなくて本物の婚約者になって俺と結婚するのはどう?』
また思い出してしまった。
忘れるためにぶんぶんと頭を振って悠翔の言葉を追い払う。
ふとため息がこぼれた。
「明日香には話してないけど、プロポーズを断ったのは他にも理由があったんだよね」
「えっ」
明日香がきょとんとした顔を見せる。
「他の理由って?」
「うん。実は……」
答えようとしたところで、「お待たせー」と大きな声が聞こえた。
振り向くと、遅れて来た亮二さんの姿がある。
「なんの話してるの?」
明日香の隣に腰を下ろした亮二さんが尋ねてくる。
「美羽が悠翔さんのプロポーズを断った理由」
「それって美羽ちゃんが悠翔の転勤にはついていけないからでしょ?」
亮二さんも私がプロポーズを断った理由について知っているのは悠翔から聞いたのだろう。
「それが理由じゃないの?」
亮二さんが不思議そうな顔を浮かべる。その隣に座る明日香もまた私の言葉を待っていた。
明日香だけに打ち明けるはずが亮二さんも加わってしまった。今さらやっぱり話さないというわけにはいかないだろう。