再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!


『偽物じゃなくて本物の婚約者になって俺と結婚するのはどう?』


また思い出してしまった。

忘れるためにぶんぶんと頭を振って悠翔の言葉を追い払う。

ふとため息がこぼれた。


「明日香には話してないけど、プロポーズを断ったのは他にも理由があったんだよね」

「えっ」


明日香がきょとんとした顔を見せる。


「他の理由って?」

「うん。実は……」


答えようとしたところで、「お待たせー」と大きな声が聞こえた。

振り向くと、遅れて来た亮二さんの姿がある。


「なんの話してるの?」


明日香の隣に腰を下ろした亮二さんが尋ねてくる。


「美羽が悠翔さんのプロポーズを断った理由」

「それって美羽ちゃんが悠翔の転勤にはついていけないからでしょ?」


亮二さんも私がプロポーズを断った理由について知っているのは悠翔から聞いたのだろう。


「それが理由じゃないの?」


亮二さんが不思議そうな顔を浮かべる。その隣に座る明日香もまた私の言葉を待っていた。

明日香だけに打ち明けるはずが亮二さんも加わってしまった。今さらやっぱり話さないというわけにはいかないだろう。


< 96 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop