再会した航空自衛官の、5年越しの溺愛包囲が甘すぎます!
「悠翔には内緒にしてほしいんだけど……」
そう前置きしてから私は言葉を続ける。
「プロポーズをされる少し前に行った航空祭で、悠翔の上官の娘だっていう女性に声をかけられたの」
「上官の娘?」
亮二さんがぽつりと呟いて首をかしげた。
悠翔の上官の娘ということは、当時同じ基地に勤務していた彼もまた彼女のことを知っているかもしれない。
「その人に私では悠翔とは不釣り合いだって言われて。自分の方が悠翔を支えるのに相応しいし、お父さんから結婚を前提に悠翔を紹介されたって言ってって……」
「なにそれ⁉」
明日香が勢いよくイスから立ち上がる。
「そのときの航空祭なら私も一緒だったよね。いつそんなこと言われたの?」
「明日香を亮二さんに任せて、ひとりでお手洗いに行ったとき」
初対面の明日香のことを亮二さんが気に入ったとすぐにわかり、ふたりきりで話ができるように私はお手洗いを理由にその場を離れた。
当時のことを思い出したのだろう明日香が「あのときかぁ……」とぽつりとこぼす。
「戻ってきた美羽の様子が元気ないとは思ってたけど、そんなことがあったなんて。私も一緒についていけばよかった」