悪女の涙は透明らしい
巻き込んでしまった。


「ごめん。」


こんな、昨日今日あったばかりの人間を助けてくれた。しかも嫌な態度ばかりとってたのに。


俯いて地面に座り込んだままの私に何を思ったのか、一拍あけてチカが私の目の前でクルッと背中を向けてしゃがみこむ。


「何して────」

「掴まれよ。背負ってやるから」

「へ…?!な、なんで」

「腰が抜けたから背負ってほしいってことだろ?」

「ち、違うわよ!ピンピンしてるって」


反射的に勢いよく立ち上がった私を見下ろして不思議そうに眉を寄せるチカは「じゃあ謝る必要ねえじゃん」と言葉をこぼす。


「ごめんってそういう事じゃなくて、…その、巻き込んでごめん。っていう意味で言ったの。」

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