悪女の涙は透明らしい
「別に謝る必要ねぇよ。お前が悪いわけじゃない」


なんとなく2人で話しながら道を歩いていると、夕陽はとっぷりと暮れて辺りは街灯の光に包まれた。


「ここまでで大丈夫。家すぐそこだから」


公園の手前まで来て私が立ち止まると、チカが徐に目元の眼鏡を外す。



街灯に照らされながらも、その色彩の鮮やかさにしばし目を奪われた。

琥珀色の、色素の薄い瞳が街灯の光を反射してとても綺麗だった。


「お前、もしかしていつもあんな風に狙われてるのか?」


チカが心配げに私を見つめる。

不思議だった。

昨日あったばかりの人間が、どうしてこんなに私に優しくしてくれるのか。
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