悪女の涙は透明らしい
虐げる者
バシャッ────!!
バケツいっぱいの水を頭から被った後、トイレのモップで腹部を殴られた。
「あんたいい加減自覚したら?要らない存在だってこと」
「その腹黒い心綺麗にしてやるよ、きゃは」
トイレの床に倒れ込みながら殴られた腹部を抑えると、じわりと鈍い痛みに顔を歪める。
昼休みに突然女3人組に羽交い締めにされ、半ば無理やり一通りが極端に少ないトイレに連れ込まれた。
そのまま始まったのは、制裁という名のただのリンチだ。
ダメだ、こいつらの前で痛がる素振りなんて見せたら
「なに痛がってんの?言っとくけど、花梨さんの痛みはこんなものじゃなかった。白狐様達の痛みに比べれば、お前が苦しそうな顔してんじゃねぇよ!」
「・・・・・ッ」
化粧の濃いギャル女が私の髪を掴んで顔を覗く。
その憎悪と弱いものを淘汰する愉悦の表情が私を見つめる。
これまで何度も見てきた、誰もが私に向ける冷めた視線と突き刺さる憎悪の念。
「だ、からッ・・・・・言ってるでしょ。私はそんなこと、してない」