悪女の涙は透明らしい
キッと睨みつけると、女が私の頬を思い切り叩いた。


「ちょ、美香、顔はヤバいって。見えるとこにはあと付けんなって言われてんじゃん」

「だってムカついたし。この期に及んでシラ切り通すこの女が可笑しいでしょ。…ま、一発くらい花梨さんなら許してくれるでしょ」


「か、りん・・・・・?」


口の中を切ったのか、喋ると鉄の味がした。

かりん?花梨が、今なんて────


「今日はこれくらいにしといてあげる。あ、ここ掃除しといてねー」


「待っ・・・・・」

「これに懲りたら、悪女さんはさっさとこの学校から消えることね。ここにあんたの味方なんていやしないんだから」


女達はひとしきり満足したのか笑みを浮かべてその場を去っていった。


1人取り残された私は、静寂の中ゆっくりと立ち上がる。

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