悪女の涙は透明らしい

次の日




『ねえ、聞いた?』

『もちろん。あの女も懲りないわね』


ヒソヒソッ…


相も変わらず、この学校の空気は息が詰まる。

下駄箱で靴に履き替え教室までの廊下を歩くと、周囲の生徒たちの噂話と冷めた視線が突き刺さる。


『よく平然としてられるわよね』

『善人の皮をかぶった悪女は心臓に毛でも生えてんのかね』



誹謗中傷もここまで来ると笑えてくる。


昔は普通に息を吸えたし、友達と楽しく談笑できたし、こんなふうに見ることも聞くこともない視線に耐える必要なんてなかった。


どうしてこうなったんだろう…だなんて、ただの現実逃避かな

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