悪女の涙は透明らしい

女は私の態度が気に入らなかったみたいで「なんなのよあんたっ....！」と分かりやすく怒鳴り声をあげる。


「あんたなんか、白狐様達に捨てられた面汚しの悪女のくせにッ！！！」


ピクっと小さく反応した指先を、周囲に気づかれないように制服の袖に隠した。

何も言い返さない私に女はなおも言葉を続ける。



「そもそもなんであんたまだ学校にいんのよ！花梨さんいじめて怪我させて白狐様達に出ていけって言われた分際で」

「やめて」



聞きたくもない


その名も、あの日を思い出させる言葉も全部。聞きたくなんてない────




『おい、さっさと出ていけよ』

『ま、待ってよ…っ話を聞いて！こんなのなにかの間違い────！！』


『もう二度と俺達に関わるな。……虫唾が走る』




───────仲間って言ったのに


結局、誰も彼も、最後まで信じてくれなかった