悪女の涙は透明らしい
なんでいるのよこの変質者
「おい、その見るからに変人を見る目やめろよ」
「伝わってるみたいで良かったです」
「おい??」
どこから現れたのか、もう二度と会いたくなかった昨日の変人の眼鏡がキラリと光る。
「まぁいいや。昨日ぶりだな奈緒」
「その奈緒って呼び捨てにするのやめてください。初対面なのに」
「昨日あったじゃん。」
「というかなんで私の名前知ってるんですか。私名乗ってませんけど」
「あ、その新作美味しいよなー」
「話逸らすの下手か」
明らかに目を泳がせて視線を手元のミルクティーに向けた男をジロリとひと睨みしつつ、カップに入った中身を飲み干す。