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池に落とされて助け出されたあと、ぼんやりとした意識の中で、わたしのことを何度も呼ぶ声が聞こえた。

あれは、昴くんだったんだ。


いつもの『アリス様』じゃなくて、ちゃんと『ありす』って。


そう思ったら、さっきも――。


「昴くん、わたしのこと…『ありす』って呼んでくれてたよね?」


虹斗くんや慎太郎くんが『アリスちゃん』と呼んでくれるけど、昴くんは絶対に『アリス様』の呼び方を崩さなかった。


だけど、たしかに呼んでくれた。


『…ありす!危ない…!!』


――って。


うれしくて頬がゆるむわたし。

だけど、昴くんの表情はわたしとは正反対。


「…申し訳ございません。アリス様を呼び捨てにするなど、あってはならないことだというのに…」


…あっ、また『アリス様』に戻ってる!
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