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朗読を終えた昴くんが席に着く。


「アリス様、ありがとうございました」

「…わ、わたしは…べつに」


これは、昴くんの教科書なのに。


「四之宮くん、今日は佐藤さんに教科書を見せてもらいなさい。佐藤さん、悪いけどお願いしますね」


隣の席の昴くんは、少し机を持ち上げてわたしの机にピッタリとくっつけた。


「アリス様。ご迷惑おかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いします」

「…そんなっ。迷惑だなんて…」


わたしは昴くんの顔を見れずにうつむく。


そのあとの授業は、くっつけた机の真ん中に教科書を置いてわたしと昴くんとでそれを共有した。


「…ねぇ、昴くん。この教科書――」


わたしが小声で話しかけると、昴くんは自分の口元に人差し指を立てた。


「アリス様、今は授業中ですよ」
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