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あっと思ったときにはすでに遅く、スケッチブックは水音とともに池の中へ。


「あら、ごめんなさいね。ちょっと手が滑っちゃって」


含み笑いをしながらわたしを見下ろす沙理奈ちゃん。

周りにいる3人は、声を殺しながらクスクスと笑っている。


手が滑っただなんて、…絶対に嘘だ。


「どうしてこういうことができるの…!江口くんのことといい、沙理奈ちゃんには人の気持ちがわからないの!?」


わたしがそう言って詰め寄ると、沙理奈ちゃんの目尻がピクリと動いた。


「…なに?偉そうにわたくしに説教するつもり?」

「べつにそういうわけじゃっ…」

「いい!?たまたま事業が成功して財力を手にしたか知らないけどね、三輪財閥は明治時代からある立派な家柄なの!あなたのところとは歴史が違うのよ!」


やっぱり沙理奈ちゃん、佐藤財閥が三輪財閥よりもカースト順位が高いことを気にして…。
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