神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
まっすぐに美穂を見つめる、鳶色の瞳。
その眼差しの強さにひるみかけ、けれども美穂は、そんな自らを守るように彼から視線をそらす。
「は、ナニ言っちゃてんの? バっカみたい。昨日今日会った人間を、なんで必要だなんて言いきれるワケ? それに……」
美穂は、先ほど菊が仕立て直してくれた、緋色の着物を身につけた自分を見下ろした。
筒そでの短衣に、ひざ丈のズボン。幼い男の子が夏祭りでしそうな出で立ちだ。
「あんた、ソッチの趣味の人でしょ? あたしは確かに胸ペタンコだし、髪短いけど、一応、女なの!
さっき“召喚”がどうとか言ってたけど、喚ぶならちゃんと、男を喚べっての!」
叫び疲れて、美穂は肩で息をした。
自分で言っておきながら自虐的な内容に、なんだか情けない気分になってくる。
「あぁ……そういうことね。どうりで機嫌が悪いと思ったわ」
そこへ持ってきての、セキコのこの反応。
美穂の頭に、カッと血がのぼった。
「間違えて“召喚”すんな、このっ……、馬鹿オカマっ!」
手にした筆をセキコへ投げつけ、美穂はそのまま屋敷を飛び出した。
その眼差しの強さにひるみかけ、けれども美穂は、そんな自らを守るように彼から視線をそらす。
「は、ナニ言っちゃてんの? バっカみたい。昨日今日会った人間を、なんで必要だなんて言いきれるワケ? それに……」
美穂は、先ほど菊が仕立て直してくれた、緋色の着物を身につけた自分を見下ろした。
筒そでの短衣に、ひざ丈のズボン。幼い男の子が夏祭りでしそうな出で立ちだ。
「あんた、ソッチの趣味の人でしょ? あたしは確かに胸ペタンコだし、髪短いけど、一応、女なの!
さっき“召喚”がどうとか言ってたけど、喚ぶならちゃんと、男を喚べっての!」
叫び疲れて、美穂は肩で息をした。
自分で言っておきながら自虐的な内容に、なんだか情けない気分になってくる。
「あぁ……そういうことね。どうりで機嫌が悪いと思ったわ」
そこへ持ってきての、セキコのこの反応。
美穂の頭に、カッと血がのぼった。
「間違えて“召喚”すんな、このっ……、馬鹿オカマっ!」
手にした筆をセキコへ投げつけ、美穂はそのまま屋敷を飛び出した。