神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
「あ、ゴメンね、寝てるのに邪魔して。えっとね、みんなが知りたがっててね、ええと」
「何。早く言ってくれる?」

それでも、イジメとまではいかないが、嫌がらせ程度のことは横行するようなところはあった。

美穂は、生来の気の強さと群れない立ち位置から、クラスメイトたちのグループ内のいざこざとは無縁ではあったが、彼女たちのグループの結束のため(・・・・・・・・・・)利用されることは多かった。

「あ、そっ、その髪、素敵だね。カットが斬新っていうか……。有名な美容師さんとかに切ってもらったりしてるの?」

美穂は、ため息をついた。

仲間入りを果たすための条件(・・)が、美穂へのこの手の質問なのだ。
彼女たちにとって自分は、理解し難い未知のもの。少しの恐怖と、ささやかな蔑みの対象。

「これは、自分で切ってんの。美容院代ケチってるだけ。───つーかさぁ」

そこで美穂は教室中を見回し、声を張り上げる。
二三人、もしくは五六人の固まりが、室内の至るところで内緒話やら共通の話題で盛り上がっていた。

「誰だっけ? この前あたしに同じこと()いてきたヤツ。
いちいち答えるの、メンドイんだよね。あんたら、ちゃんと連絡網回しといてくんない?」
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