神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
(あたしが男みたいに見えたから、興味をもってただけ)

最初は。
いまは美穂が『女』だと認識しているのだ。もう彼の好みの範疇(はんちゅう)ではないだろう。

(いま、あたしに優しくしてるのは、本当に優しいからだ)

良いことではないか。
あと半月、美穂はこの世界───セキコの屋敷に不本意ながら住まわなければならないのだから。親切にしてもらったほうが、過ごしやすいはずだ。

(なのに、なんで……?)

なぜ、こんなにも、悲しいのだろうか───。




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