神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
(せき)をきったように、美穂は泣きながら自身の胸のうちを話す。

いままでこんな風に、誰かに自分の想いを吐露したことがあっただろうか?
自分の弱さなど誰にも見せられない。周り中、敵だらけに思えていた。

「あんたに、そんな風に思われたくなかった……こわかった……」

それなら、自分のほうから遠ざけてしまえばいい、と。傷つきたくない一心でした、愚かな『拒絶』。

「自分勝手な子ね。それでアタシが、傷つかないとでも思ったの?」

泣きじゃくりながらの告白は、己の弱さを盾にした拒絶という名の『攻撃』だと、断罪される。

「だいたい───」

あきれたように息をつき、セキコが美穂の前にかがみこんだ。
大きな手のひらが美穂の両頬に触れ、顔を仰向かせる。

「アタシがいつ、アンタのこと『いらない』って言ったのよ? ひとりで勝手に勘違いして……馬鹿な子」

目じりにそえられた親指が、物言いとは裏腹に、そっと涙をぬぐってくれる。
その優しさに誘われて、思いきって美穂は尋ねた。

「あ、あたし、このままこの世界にいても……いい?」
「アンタが望むなら、好きにしなさい」
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