神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
「好き」
告げた唇が、桃の香を連れながら美穂の唇に触れた。
溶けて混じり合う、吐息と体温。
伝わる熱に、おぼれないようにすがりつく、本能。
「……いま」
耳もとで、いっそう艶を帯びた声音がささやく。
「アタシの真名、呼んだ?」
「……え?」
酸欠一歩手前でセキコに身体を預けた美穂は、あやふやな意識で彼を見返す。
「呼んだ……カモ?」
「そう。……なんだか、解りかけてきたわ」
「へ……?」
「こっちのハナシ」
意味ありげに笑って、セキコは美穂の後ろ髪をなでながら、美穂を抱くもう一方の腕に力をこめてきた。
*
セキコが気づいたのは、赤い“花嫁”が赤い“神獣”に真名を『伝える方法』。
しかしそれを、セキコはまだ胸のうちに留めておくのだった。
告げた唇が、桃の香を連れながら美穂の唇に触れた。
溶けて混じり合う、吐息と体温。
伝わる熱に、おぼれないようにすがりつく、本能。
「……いま」
耳もとで、いっそう艶を帯びた声音がささやく。
「アタシの真名、呼んだ?」
「……え?」
酸欠一歩手前でセキコに身体を預けた美穂は、あやふやな意識で彼を見返す。
「呼んだ……カモ?」
「そう。……なんだか、解りかけてきたわ」
「へ……?」
「こっちのハナシ」
意味ありげに笑って、セキコは美穂の後ろ髪をなでながら、美穂を抱くもう一方の腕に力をこめてきた。
*
セキコが気づいたのは、赤い“花嫁”が赤い“神獣”に真名を『伝える方法』。
しかしそれを、セキコはまだ胸のうちに留めておくのだった。