神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
(まぁ別に……どうでもいいけど)

普通の女子高生が思いつきそうな感想をいだいた自分に対し、普通でない女子高生(・・・・・・・・・)の美穂は、無意識下でなおざりな気分にすり替えた。





これは食べろ、それは残すな、と。
朝食の膳についた美穂に対し、昨晩“契りの儀”とやらを交わした相手は、口うるさく言ってきた。
おかげで美穂は何だかんだで、すっかり満腹になっていた。

(こんなマトモな食事したの……いつ以来だろ)

即席めんや惣菜パン類ばかりの食生活。栄養は偏り、健康にも悪影響があるだろうことは中学生でも解る。
だが、それが美穂の当たり前だった。

───美穂の両親は美穂が小学校に上がる前に、交通事故で亡くなっていた。
高速道路での多重衝突に巻き込まれ、ほぼ即死だったという。

両親の『死』は突然すぎて実感もなく、本当の意味での理解を当時はできていなかった。
幼い美穂の心に残ったのは、人はあっけなくこの世を去るのだという事実であった。

その後、父方の祖父母の家に引き取られ、彼らが亡くなるまで比較的穏やかに育てられた。しかし───。

「さてと。お腹も落ち着いただろうし……少しアタシと話でもしましょうか? いい?」
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