神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
(あたしって、どうしてこうなんだろう……)
昔から、ちっとも変わらない。
赤い“神獣”の“花嫁”となり、“神籍”に入ったことによって、外見は二十三年前のままだ。
心の成長も、止まっているのだろうか?
「……迷惑かけて、ごめん」
二十二年ぶりにもなる、長い年月の間を空けることになった、山歩きの理由。
自らが犯した過ちの代償。
それに付き合ってくれた、赤い神の獣とその配下である“眷属”たち。
「もう、終わったことよ。
だからアタシたち、ハクと咲耶の屋敷に歩いて行けるんでしょう?」
穏やかな声音が耳に落ちてくる。
月の光が差し込んできて、優しいのに目に染みるようで、美穂は思わず男の胸に顔を伏せた。
「……うん」
身体に伝わる振動は心地よく、この歩幅なら、すぐにでも咲耶たちの屋敷に着きそうだ。
美穂は、いまのうちに言っておかなければならないと、口を開く。
「……屋敷に着いたら、下ろしていいから」
「はいはい」
「お前、咲耶に余計なこと話すなよ?」
「分かってるわ」
「それから」
そこで美穂は顔を上げ、自らの伴侶を見つめた。あでやかな美貌の、赤い“神獣”の“化身”を。
昔から、ちっとも変わらない。
赤い“神獣”の“花嫁”となり、“神籍”に入ったことによって、外見は二十三年前のままだ。
心の成長も、止まっているのだろうか?
「……迷惑かけて、ごめん」
二十二年ぶりにもなる、長い年月の間を空けることになった、山歩きの理由。
自らが犯した過ちの代償。
それに付き合ってくれた、赤い神の獣とその配下である“眷属”たち。
「もう、終わったことよ。
だからアタシたち、ハクと咲耶の屋敷に歩いて行けるんでしょう?」
穏やかな声音が耳に落ちてくる。
月の光が差し込んできて、優しいのに目に染みるようで、美穂は思わず男の胸に顔を伏せた。
「……うん」
身体に伝わる振動は心地よく、この歩幅なら、すぐにでも咲耶たちの屋敷に着きそうだ。
美穂は、いまのうちに言っておかなければならないと、口を開く。
「……屋敷に着いたら、下ろしていいから」
「はいはい」
「お前、咲耶に余計なこと話すなよ?」
「分かってるわ」
「それから」
そこで美穂は顔を上げ、自らの伴侶を見つめた。あでやかな美貌の、赤い“神獣”の“化身”を。