「恋愛ごっこ」してください!―可愛い義理の妹が仕掛けてくる!

第3話 両親に妹との同居について確認をしたら同居を依頼された!

去年の連休の後に美幸が東京の旅行会社に就職がきまったとは聞いていた。それでも二人が別々に住むものと思っていて、一緒に住むことは想定していなかった。

「美幸、父さんと母さんは僕と一緒に住んでも良いと言っているのか?」

「お兄ちゃんが良いと言えば良いと言っていたけど」

「本当か? 電話して確かめるぞ」

「どうぞ」

僕はすぐに父親に電話した。

「父さん、誠だけど、美幸が僕と一緒に住みたいと言ってここにいるけど、良いと言ったの?」

「美幸が東京に就職したいというので、女の子の一人暮らしは心配だから、誠と一緒に暮らすのなら良いとは言ったけど」

「何で、事前に言ってくれなかったの? こちらも心づもりがあるのに」

「美幸が事前に言うと断られるからと言うものだから、しかたなかった」

「母さんはどう言っているの? 母さんに代わってくれない?」

「誠、迷惑かもしれないけど、美幸を一緒に住まわせてくれない? 一人暮らしをさせるのはとても心配で」

「分かった、母さんがそういうなら一緒に住まわせるから、安心して」

「誠は小さいときからいつも美幸をかばって守っていてくれたから、それなら安心です。お願いします」

僕は分かりましたと言って電話を切った。

「父さんも母さんも僕と一緒に暮らすと安心だと言っているので、まあしかたないか」

「ありがとう、お兄ちゃん」

「荷物はそのスーツケースだけなのか?」

「引っ越しの荷物は今日の午後、ここへ届くから」

「ええっ、今日の午後にか!」

手回しの良いのに驚く。午後1時になって引っ越し屋さんが美幸の荷物を運んできた。衣類などの段ボール箱が20個ほどで搬入はすぐに終わった。家具や家電は一切持って来ていなかった。

荷物を片付けたいというのでクローゼットを整理して美幸のスペースを作った。僕の持ち物は元々少なかったので美幸の分のスペースを空けてやることができた。衣料用のクローゼットにはスーツやワンピースなどを片付けていた。

1LDKでもなんとか二人分が片付けられるものだとその時に思った。そういえばこの賃貸マンションは単身者専用と思っていたが、二人で住んでいる人もいた。

4時には片づけが終わった。美幸はお腹が空いたと言うので宅配ピザを注文した。外へ食べに行こうにも荷物の片付けで疲れたと言うのでそうした。僕はコーヒーメーカーでコーヒーを二人分作っておいた。ピザが届いたので食べ始める。そこで大事なことに気が付いた。

「美幸、ところでベッドや布団などの寝具がなかったけど」

「必要ないでしょう。一緒に寝れば良いから」

「一緒に寝るって、ベッドは一つしかないよ」

「さっき確認したらセミダブルくらいの大きさがあるから大丈夫よ」

「大丈夫よって、大丈夫じゃないだろう」

「抱いて寝てもらえれば大丈夫だから」

「抱いて寝るなんてできないだろう」

「どうして、小さい頃は同じお布団で二人抱き合って寝ていたのを覚えていないの」

「覚えてはいるけど、子供のころの話だろう。それに母さんから妹とは『パパママごっこ』を絶対にしてはいけないと言われているから」

「『パパママごっこ』って何? どういうことするの?」

美幸は分かって聞いてきている。

「どういうことって」

「お兄ちゃんは考え過ぎよ、一緒に寝るだけ、狭いから抱いて寝てもらわないとベッドから落っこちるでしょう」

「でもできないな。今はもう大人だし、僕も男だし」

「だから?」

「美幸はベッドで寝てくれれば良い。僕はソファーで寝るから」

「それで良いの?」

「それしかないだろう」

それで美幸はベッドで、僕はソファーで寝ることになった。これじゃあ先が思いやられる。

ピザを食べ終わると美幸は疲れたので眠りたいと言う。すぐにお風呂の準備をする。ここのお風呂はスイッチを入れるとお湯が入って、満杯になるとアナウンスで知らせてくれる。

その間に僕は美幸のためにベッドメイキングをする。美幸は下着やパジャマの用意をしている。僕はそれを横目で見ながらシーツ、かけ布団の上掛け、枕カバーを洗濯済のものに交換した。

お風呂が沸いたので美幸に先に入ってもらった。ゆっくり入ってと言ったのに美幸は早めに上がってきた。パジャマに着替えて髪にバスタオルを巻いている。いつも見ていた懐かしい美幸の風呂上がりだった。

ベッドに入ると美幸はお兄ちゃんの匂いがすると言ってすぐに眠ってしまった。
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