「恋愛ごっこ」してください!―可愛い義理の妹が仕掛けてくる!
第4話 義理の妹、美幸との思い出(2)―お互いに恋人の振りをしていた?
僕は小さい時から、妹の美幸はとても可愛い女の子だと思っていた。小顔で目がぱっちりしていて、鼻筋がとおっていて、口元も可愛かった。兄の贔屓目かもしれないが、まるでお人形のようだった。これは間違いない。小学生から中学生、高校生になるにつれてますます綺麗で可愛い美少女になっていった。
妹の美幸とは3歳の年齢差があった。僕は小学生のころからそのかわいい妹を守らなくてはいけないと思っていた。それは両親から妹を守ってやってほしいと言われていたからでもあった。それで小学生のときから近所の空手道場に通わせてもらっていた。小学校では必ず一緒に登下校していたし、中学校でも一緒に登校していた。
僕はというと自分でもそんなにハンサムでもなくて妹とは全く不釣り合いな普通の顔つきをしていると思っていた。ただ、身体はがっちりしていて身長もあった。だから、妹と二人で歩いていると、僕の友達はお前たちは本当に兄妹かとからかったりした。
僕はそれを可愛い妹を持つ僕に対するやっかみだと思うことにしていた。でも一方では、妹には僕が不釣り合いだという劣等感もあったのだと思う。
ただ、勉強は僕の方ができた。僕は地元の大学の医薬系学科に進学していた。父は町の薬局に勤めていたが、経営者が高齢になって父がその薬局を引き継いでいたからだ。いずれは僕が引き継ごうと考えてのことだった。それで父も反対はしなかった。
美幸が高校の1年生になった時に僕は大学1年になっていたので、それから僕は美幸の家庭教師となって勉強を見てやっていた。
美幸は僕ほど勉強が得意ではなかったが、僕の言うとおり素直に従って一生懸命に勉強をしていた。その甲斐あって、美幸は同じ大学の文系学科に進学することができた。両親が喜んだのは言うまでもなかった。
美幸の入学式があった日のお祝いの夕食の時に僕たちは両親から重大な話を聞かされた。僕は父の連れ子で、美幸は母の連れ子で、両親が再婚したので、僕と美幸は兄妹になったというのだ。
僕の母親は僕が2歳の時に好きな人ができて、父に僕を残して家出して離婚したという。でもそれを聞いた時、その母親に会ってみたいとは思わなかった。
それはきっと今の母が僕に愛情を注いでくれたからだと思う。母は保育所で保母をしていたが、美幸が小学生になると専業主婦になって二人を育ててくれた。
一方、美幸の父親は美幸が1歳の時に交通事故で亡くなったと聞いた。それは父親が母に暴力を振るって美幸にも害が及ぶのを恐れて母が美幸と実家へ家出して、その時に二人を連れ返そうと向かった途中で起こした事故だったそうだ。
そんな同じような境遇にある父と母は気晴らしに行っていた民宿のオーナー夫妻の紹介で知り合ったという。父は母にただ真似をするだけの「恋愛ごっこ」をしていやな思い出に上書きをして過去を忘れようと誘ったという。
それから父と母の付き合いが始まり、それが親子の付き合いになり、やがて一緒に住むようになって、結婚したという。そして美幸は僕の父親の養女になったから、僕と美幸は兄妹になったという。その時、僕は5歳で美幸は2歳だった。
それを聞いて僕は今までなんとなく分からなかったことに合点がいった。それは突然母親と妹ができたという幼いころの記憶があったからだった。美幸にはそういう記憶は全くなかったと思う。でも美幸は本能的にそれを感じていたのかもれない。
その夕食の時に美幸と父と母が言った言葉を今でも覚えている。
「それじゃあ、私はお兄ちゃんと結婚できるの?」
「血の繋がった兄妹は結婚できないけど、二人は血が繋がっていないから結婚できるよ」
「誠はこれからも美幸を守ってあげてね、お願いします」
僕はその時、母の言葉の真の意味が理解できなかった。今もそうだ。
妹の美幸とは3歳の年齢差があった。僕は小学生のころからそのかわいい妹を守らなくてはいけないと思っていた。それは両親から妹を守ってやってほしいと言われていたからでもあった。それで小学生のときから近所の空手道場に通わせてもらっていた。小学校では必ず一緒に登下校していたし、中学校でも一緒に登校していた。
僕はというと自分でもそんなにハンサムでもなくて妹とは全く不釣り合いな普通の顔つきをしていると思っていた。ただ、身体はがっちりしていて身長もあった。だから、妹と二人で歩いていると、僕の友達はお前たちは本当に兄妹かとからかったりした。
僕はそれを可愛い妹を持つ僕に対するやっかみだと思うことにしていた。でも一方では、妹には僕が不釣り合いだという劣等感もあったのだと思う。
ただ、勉強は僕の方ができた。僕は地元の大学の医薬系学科に進学していた。父は町の薬局に勤めていたが、経営者が高齢になって父がその薬局を引き継いでいたからだ。いずれは僕が引き継ごうと考えてのことだった。それで父も反対はしなかった。
美幸が高校の1年生になった時に僕は大学1年になっていたので、それから僕は美幸の家庭教師となって勉強を見てやっていた。
美幸は僕ほど勉強が得意ではなかったが、僕の言うとおり素直に従って一生懸命に勉強をしていた。その甲斐あって、美幸は同じ大学の文系学科に進学することができた。両親が喜んだのは言うまでもなかった。
美幸の入学式があった日のお祝いの夕食の時に僕たちは両親から重大な話を聞かされた。僕は父の連れ子で、美幸は母の連れ子で、両親が再婚したので、僕と美幸は兄妹になったというのだ。
僕の母親は僕が2歳の時に好きな人ができて、父に僕を残して家出して離婚したという。でもそれを聞いた時、その母親に会ってみたいとは思わなかった。
それはきっと今の母が僕に愛情を注いでくれたからだと思う。母は保育所で保母をしていたが、美幸が小学生になると専業主婦になって二人を育ててくれた。
一方、美幸の父親は美幸が1歳の時に交通事故で亡くなったと聞いた。それは父親が母に暴力を振るって美幸にも害が及ぶのを恐れて母が美幸と実家へ家出して、その時に二人を連れ返そうと向かった途中で起こした事故だったそうだ。
そんな同じような境遇にある父と母は気晴らしに行っていた民宿のオーナー夫妻の紹介で知り合ったという。父は母にただ真似をするだけの「恋愛ごっこ」をしていやな思い出に上書きをして過去を忘れようと誘ったという。
それから父と母の付き合いが始まり、それが親子の付き合いになり、やがて一緒に住むようになって、結婚したという。そして美幸は僕の父親の養女になったから、僕と美幸は兄妹になったという。その時、僕は5歳で美幸は2歳だった。
それを聞いて僕は今までなんとなく分からなかったことに合点がいった。それは突然母親と妹ができたという幼いころの記憶があったからだった。美幸にはそういう記憶は全くなかったと思う。でも美幸は本能的にそれを感じていたのかもれない。
その夕食の時に美幸と父と母が言った言葉を今でも覚えている。
「それじゃあ、私はお兄ちゃんと結婚できるの?」
「血の繋がった兄妹は結婚できないけど、二人は血が繋がっていないから結婚できるよ」
「誠はこれからも美幸を守ってあげてね、お願いします」
僕はその時、母の言葉の真の意味が理解できなかった。今もそうだ。