純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
年明け第一日目。つまり元日早々、私を迎えに来た宗輔は両親と顔を合わせた。
今回は簡単な顔見せ程度になることは、すでに両親に伝えてあった。だから、思っていたよりは堅苦しい空気にならずに済んで、私はほっとしていた。
マルヨシの名前を聞いた時、さすがに両親は驚いたが、宗輔と言葉を交わして安心したようだった。父はずっと固い笑みを浮かべたままだったが……。母は終始にこやかに宗輔に接していたが、帰り際、私の傍までやって来て心配そうに言った。
「マルヨシなんて、そんな立派なお家、あんたに務まるの?」
それについては私自身も少々思っていたことだった。けれど、いらぬ心配はかけまいと笑って返す。
「彼がいるから大丈夫よ、きっと」
母はほうっとため息をついて、そっと宗輔の方を見た。
「そうね……高原さんがあんたのこと大事に思ってるのは、話してみて分かったからね」
「でも、お父さんはなんだかずっと……」
ふっと顔を曇らせる私に、母はにこっと笑った。
「気にしなくて大丈夫よ。お父さん、あんたを取られたような気になってるだけで、別に反対ってわけじゃないから。ま、あんたも色々と忙しいだろうけど、もう少し帰って来て、お父さんに顔を見せてちょうだい」
「うん、また来るよ。あ、そうだ。お兄ちゃんとお義姉さんにもよろしく言っといてね」
「言っておくわ」
「ごめんね。急に決めちゃって。早い方がいいかなって思ったから……」
「びっくりはしたけど、大丈夫よ。新年早々嬉しい話を聞けて良かったわ。また、二人でいらっしゃいな。――あらやだ、高原さんをお待たせしちゃったわね」
母ははっとして、車の傍で私を待つ宗輔に向かって頭を下げた。父はと見ると、母の少し後ろでまだ複雑そうな顔をしている。