純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~

かたちにして


約束の日。

レストランで食事をしてから、うちに行こう――。

数日前にそんなメッセージが届いていたから、私はいつもより少しだけおしゃれをした。レストランなら、それなりにドレスアップした方がいいかもしれない、と思ったのだ。クローゼットの中から、一昨年友人の結婚式用に買った、胸元と袖に透け感のあるベロアのワンピースを見つけてそれに決めた。

宗輔がプレゼントしてくれたリングを指にはめながら、ふと考えた。そう言えば、こんな風にドレスアップして、彼に会ったことがあっただろうか。もしもこの姿を見せるのが初めてだとすれば、彼の目にどう映るだろう。綺麗だと思ってくれるだろうか。

仕事を終えて迎えに来た宗輔に連れられて行ったのは、地元で上位ランクに入るホテルのレストランだった。最上階にあるそこは夜景が見られるとあって、特にカップルには人気の場所でもあった。

クロークでコートを預けてワンピース姿を見せる私に、宗輔は目を瞬かせた。

何も言わない彼に不安になってしまう。

「変、だったかしら……?」

「違う。――綺麗だな、って思って」

「ありがとう」

宗輔の言葉に照れながらもときめいた。コートを脱いだスーツ姿の彼も今日はいつも以上に素敵に見えて、どきどきしてしまう。

「ここのレストラン、人気なのに、よく予約取れたわね」

「偶然キャンセル出たんだってさ。たまにはこんなのもいいだろ?思い返せば、クリスマスも、初詣も、俺たちの間じゃ気づいたら終わってしまってたし」

「そう言えば、そうだったわね。でも、プレゼントは交換できたから満足よ」

宗輔は視線を下ろし、私の指を見て嬉しそうな顔をする。

「今日は、指輪してくれてるんだな」

「デートだから。宗輔さんのは?」

「もちろん、ここに」

彼は自分の左手を私に見せて微笑んだ。
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