純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
「これって……」
ペアリングをもらった時のことを思い出し、私はつぶやく。
宗輔が言う。
「婚約指輪だよ。近いうちに改めてプロポーズするつもりでいたから、この前ペアリングとは別に注文しておいたんだ。昨日、できあがったっていう連絡があってさ。一緒に受け取りに行けば良かったのかもしれないけど、驚かせたかった。今は大っぴらにつけてもらえないことは分かっている。だけど、これは俺の気持ちとか俺たちの関係を形にしたものだから。結婚指輪は二人で見に行こう。――それから、これも受け取ってほしい」
彼の手のひらの上には、鈍く光る銀色の鍵があった。
「これは、この前言ってた……。本当にいいの?」
「約束しただろ?新しい部屋のじゃなくて悪いんだけど」
私はその鍵をそっと受け取った。
「今、私から返せるものは、気持ちと言葉しかなくて……。宗輔さん、本当にありがとう。嬉しいなんて言葉では足りないくらいに、嬉しいわ」
形にしておきたいと言ってくれた宗輔の気持ちが、そこに集約されているようで、たまらなく幸せだった。この指輪は彼に会う時にだけ指に通し、普段は大切に仕舞っておこうと思う。彼の部屋の鍵も、私を迎え入れてくれている証のように思えて、胸がいっぱいになった。
贈り物たちを胸に抱く私を、宗輔は満足そうに愛おしそうに見つめていた。
見つめ返したその瞳の奥に、私を求めるように揺れる光を見て取って、私の胸は熱くなる。
「――そろそろ帰ろうか」
私は頷いた。宗輔からのプレゼントをバッグの中に大切に仕舞いこみ、彼に寄り添いながらレストランを後にした。
部屋に着いてリビングの暖房を入れると、宗輔は私を腕の中に引き寄せた。そのまま抑えていた気持ちを開放するかのように、私に口づけ始める。
その激しいキスに蕩けそうになりながら、私は彼の首に腕を回す。
「寝室に連れて行って――」
キスの合間の私の囁きに宗輔は唇を離すと、大切なものでも扱うように私を抱きあげた。
そうして――。
私たちは互いの存在と気持ちをさらに確かめ合うように、愛を交わし合った。