純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
その時私たちは、店の前で待ち合わせをしていた。
先に到着していたかおりと話をしているところに、ほぼ時間通りに男性二人が現れた。
彼らが目の前に立った時、私はそのうちの一人に少し威圧感を覚えた。それほど彼は背が高く、がっしりとした体躯をしていた。しかし、女性受けしそうな精悍な顔つきをしているのに、にこりともしないから取っつきにくい感じがした。自己紹介の時になっても、やっぱり無愛想な表情は変わらず、彼は淡々とした声で高原と名乗ったのだった。
彼は私の正面に座った。
笑わない人だな……。
なんとなく気まずさを持て余している所に、ドリンクや料理が運ばれてきた。狭いテーブルの上にひと通り並んだところで、かおりの合図で乾杯する。
その後4人で様々な話題が飛び交うように会話が進んで、ようやく場は和やかになった――。となるかと思ったのだが、そうはならなかった。
始めからかおりの意識は前田に集中していたし、そのため必然的に私の会話の相手は、無口な高原ということになった。
私はグラスに口をつけながら、高原の様子をそっと伺った。表情のない顔でグラスを傾けているのを見て、話しかける前からすでに疲労感を覚えた。
苦手なタイプだ――。
高原に関しては初対面からすでにそう思っていたし、かおりと前田の様子を見て、この場に私はいなくてもいいのではないかとも思い始めていた。できることならもう帰りたいと思った。けれど、真面目な部分が、さすがにまだ早いだろうと私を止めた。