純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
高原はテーブルの上に少し体を乗り出すようにして言った。

「そんなこと聞いて、あなたに何かメリットでもある?」

いや、あの、メリットとかそういうのじゃないんだけど……。

腹が立つ。むっとして反発したくなったが、私は無理やり堅固な笑顔を貼り付けた。

「高校時代からのお友達とかですか?」

「何で答えなきゃなんないの」

「……えぇと」

顔のあちこちがぴくぴくと、再びひきつり始めているのが分かった。それなのに私はまだ、この場の雰囲気を壊したくないと思っていた。

もしかして、質問ばかりされているのが気に入らないのだろうか――。

そう考えて、今度は自分のことを話してみることにした。

「私はかおりと、高校からの友達なんです。最初は互いに合わないと思っていたはずなのに、いつの間にか仲良くなって……」

「へぇ、そう」

彼は抑揚のない声で相槌を打ち、そのまま黙り込んだ。

「……」

会話が広がらないどころか、続かない。すべてばっさりと断ち切られてしまう。

その後も私は高原と、半ば意地で会話らしい会話をしようと試みた。けれど万事が万事その調子で、取り付く島がなかった。会話のキャッチボールには、果てしなく遠いものだった。

私、この人とは初対面のはずだよね。この短時間のうちに、彼に嫌われるようなことを何かしてしまっただろうか――。

そう思って記憶を辿ってみたが、まったく覚えがない。

もしかして、生理的に嫌われているのか……?

ショックではあるが、そんな理由が頭に浮かんでしまった。でも、ここまで拒否されていることから考えると、その可能性がゼロとも言い切れない。そうだとすれば、高原と会話するためにこれ以上努力しても無駄だ。
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