越後上布が紡いだ恋~祖母の着物を譲り受けたら、御曹司の溺愛がはじまりました~
苦しみが和らぐのを感じ、気持ちが楽になっていくのがハッキリとわかった。哲朗がどっしり構えてくれているから、すごく心が満たされ安心感がある。
「ありがとうございます。山崎さんと話していると、なんだか守られてるような支えられてるような感覚がありますね」
「仕事柄、もあると思いますよ。結構悩み相談とかされることもあるんで」
哲朗は謙遜してみせ、その控えめに苦笑する姿に胸がときめく。
「だとしても、山崎さんだからだと思いますよ。雰囲気が柔らかくて、話しやすいですもん」
私は褒めたつもりだったが、哲朗はちょっぴり寂しそうな顔をした。
「そう言ってもらえると嬉しいですけど、わりと僕、いいひとで終わっちゃうんです。優しすぎて重いとか言われて、あんまり恋愛対象にならないんですよ」
「それこそ、山崎さんの魅力がわかってないんじゃ」
思わず正直な心の声が口から飛び出し、私は赤くなった頬に手を添えた。哲朗はそんな私を見て、視線を彷徨わせてからゴホンと咳払いをした。
「もしかして、期待しても良いですか?」
即答はできなかった。元彼のことを打ち明けた後で、節操がなさ過ぎる気がしたのだ。逡巡する私を見て、哲朗は申し訳なさそうにうつむく。
「すみません。僕、出過ぎたことを」
「いえ、違うんです。山崎さんは本当に素敵で、私にはもったいない方だから」
「それは、ていのいい断り文句ではなく?」
「当たり前です!」
私が勢いよく答えると、哲朗は居住まいを正した。彼はわずかに前傾姿勢を取り、厳かに口を開く。
「僕と、お付き合いしてもらえませんか?」
哲朗の唇は緊張で結ばれ、呼吸すら忘れているように見えた。その仕草には誠実さが現れており、私を幸せにするという決心が感じられる。
「私なんかで、良いんですか?」
質問に質問で返してしまった。
もっと他に言い様があったのに、身体が熱く火照って感情が追いつかない。
哲朗もまた気を張り詰めており、表情にもそれが見て取れたけれど、熱くきらめく瞳には確固たる意志が宿っていた。
「堤さんが良いんです。結婚を前提として、のつもりです」
真面目な交際だと、哲朗は自分から宣言してくれた。この人は健司とは違う。たったひとり、私だけを選んでくれたのだ。
「よろしく、お願いします」
緊迫した空気が甘く緩やかに解けた。
「ありがとうございます。山崎さんと話していると、なんだか守られてるような支えられてるような感覚がありますね」
「仕事柄、もあると思いますよ。結構悩み相談とかされることもあるんで」
哲朗は謙遜してみせ、その控えめに苦笑する姿に胸がときめく。
「だとしても、山崎さんだからだと思いますよ。雰囲気が柔らかくて、話しやすいですもん」
私は褒めたつもりだったが、哲朗はちょっぴり寂しそうな顔をした。
「そう言ってもらえると嬉しいですけど、わりと僕、いいひとで終わっちゃうんです。優しすぎて重いとか言われて、あんまり恋愛対象にならないんですよ」
「それこそ、山崎さんの魅力がわかってないんじゃ」
思わず正直な心の声が口から飛び出し、私は赤くなった頬に手を添えた。哲朗はそんな私を見て、視線を彷徨わせてからゴホンと咳払いをした。
「もしかして、期待しても良いですか?」
即答はできなかった。元彼のことを打ち明けた後で、節操がなさ過ぎる気がしたのだ。逡巡する私を見て、哲朗は申し訳なさそうにうつむく。
「すみません。僕、出過ぎたことを」
「いえ、違うんです。山崎さんは本当に素敵で、私にはもったいない方だから」
「それは、ていのいい断り文句ではなく?」
「当たり前です!」
私が勢いよく答えると、哲朗は居住まいを正した。彼はわずかに前傾姿勢を取り、厳かに口を開く。
「僕と、お付き合いしてもらえませんか?」
哲朗の唇は緊張で結ばれ、呼吸すら忘れているように見えた。その仕草には誠実さが現れており、私を幸せにするという決心が感じられる。
「私なんかで、良いんですか?」
質問に質問で返してしまった。
もっと他に言い様があったのに、身体が熱く火照って感情が追いつかない。
哲朗もまた気を張り詰めており、表情にもそれが見て取れたけれど、熱くきらめく瞳には確固たる意志が宿っていた。
「堤さんが良いんです。結婚を前提として、のつもりです」
真面目な交際だと、哲朗は自分から宣言してくれた。この人は健司とは違う。たったひとり、私だけを選んでくれたのだ。
「よろしく、お願いします」
緊迫した空気が甘く緩やかに解けた。