天国と繋ぐ携帯電話
そうちゃんは4年前の今日、交通事故で亡くなった。
居眠り運転をしていたトラックに轢かれて、即死だったそうだ。
成績も何もかもが中の下で、私よりもうんと優しくて、生きていなくちゃいけない人だった。
花子おばさんは手を合わせ、ゆっくり私の対面に戻ると、私の顔を見るなり
「美桜ちゃんまた寝れてないの?クマがすごいわ」
と、心配そうに眉を下げた。
私は不器用に笑って見せ
「夜中にゲームしちゃって……今日は早く寝ようかな」
そう部が悪そうに頭を搔く。
そうちゃんが亡くなってからよく眠れない日々が続いている。目を閉じるとあの日のことがフラッシュバックして心臓がいやに早くなってしまうのだ。
「それに表情も。ちゃんと寝なくちゃダメよ?」
「わかりました。気をつけます」
そもそも……そうちゃんを殺した私が、お父さんを死に追いやった私が幸せになっていいはずがない。
◇◇
私は家の鍵を開け、いつもリビングに置いてあるお母さんの置き手紙を手に取った。
美桜へ
夜には帰れると思います。いつも通り、お金を置いておくのでご飯買って下さい。
母より
置き手紙の下に置いてあった1500円に触れず、私は手紙を放り投げると足早に部屋へと向かった。
気持ちが沈んでいる時、考えてる事はどんどん悪い方に行って。このモヤモヤをどこにぶつければいいのか分からない。
お母さんは看護師で、こんなのいつもの事なのに。
私は枕に顔を埋め、ぼんやりと窓から空を見上げた。
空はもう真っ暗で、気を抜けば吸い込まれて消えてしまいそう。
昔はこんな時、タイミングよくそうちゃんから電話が来て、花子おばさんの家でご飯を食べていたっけ……。
小学校卒業と同時に買ってもらったというそうちゃんのスマートフォンの番号は消せずに今も1番上にいて、かければ
「美桜?どうした?」
明るい声で私を呼んでくれそうなのに、彼はもうここにいない。
4年前のあの日ーーー
入学式を終えた帰り道、私は家の中に入ろうとするそうちゃんを呼び止め
「明日!休みの日……その、2人で遊ばませんか!?」
遊ぶのは昨日今日始まった訳じゃない。こうして私から誘うなんて日常の一部。
でもこの日は少し違った。
居眠り運転をしていたトラックに轢かれて、即死だったそうだ。
成績も何もかもが中の下で、私よりもうんと優しくて、生きていなくちゃいけない人だった。
花子おばさんは手を合わせ、ゆっくり私の対面に戻ると、私の顔を見るなり
「美桜ちゃんまた寝れてないの?クマがすごいわ」
と、心配そうに眉を下げた。
私は不器用に笑って見せ
「夜中にゲームしちゃって……今日は早く寝ようかな」
そう部が悪そうに頭を搔く。
そうちゃんが亡くなってからよく眠れない日々が続いている。目を閉じるとあの日のことがフラッシュバックして心臓がいやに早くなってしまうのだ。
「それに表情も。ちゃんと寝なくちゃダメよ?」
「わかりました。気をつけます」
そもそも……そうちゃんを殺した私が、お父さんを死に追いやった私が幸せになっていいはずがない。
◇◇
私は家の鍵を開け、いつもリビングに置いてあるお母さんの置き手紙を手に取った。
美桜へ
夜には帰れると思います。いつも通り、お金を置いておくのでご飯買って下さい。
母より
置き手紙の下に置いてあった1500円に触れず、私は手紙を放り投げると足早に部屋へと向かった。
気持ちが沈んでいる時、考えてる事はどんどん悪い方に行って。このモヤモヤをどこにぶつければいいのか分からない。
お母さんは看護師で、こんなのいつもの事なのに。
私は枕に顔を埋め、ぼんやりと窓から空を見上げた。
空はもう真っ暗で、気を抜けば吸い込まれて消えてしまいそう。
昔はこんな時、タイミングよくそうちゃんから電話が来て、花子おばさんの家でご飯を食べていたっけ……。
小学校卒業と同時に買ってもらったというそうちゃんのスマートフォンの番号は消せずに今も1番上にいて、かければ
「美桜?どうした?」
明るい声で私を呼んでくれそうなのに、彼はもうここにいない。
4年前のあの日ーーー
入学式を終えた帰り道、私は家の中に入ろうとするそうちゃんを呼び止め
「明日!休みの日……その、2人で遊ばませんか!?」
遊ぶのは昨日今日始まった訳じゃない。こうして私から誘うなんて日常の一部。
でもこの日は少し違った。