桜記念日
結婚式当日。

渋滞していて時間に遅れたら大変だと、早めに車で向かうこととなった。

ふと車で通りかかると、救急車と警察車両が停まっている場所があった。

医師として、放ってはおけない。


車を降りて、顔を真っ青になったままの女性に話を聞いた。

ほとぼりがさめたら、深月(みづき)秋山(あきやま)くんに合わせるか。

ちょっとカウンセリングが必要そうだ。

軽自動車の運転手が心臓発作を起こし、車の同乗者であった運転手の奥さんが何とか車を路肩に停めたという。

前の車に追突しそうだったが、運転手は幸いなことに看護師で、車を運転していた男性の救護に当たってくれた。

AEDでの処置が早かったのと、心臓マッサージが迅速丁寧だったので、一命は取り留めたそうだ。

「あ、搬送先は成都輪生大学病院(せいとりんせいだいがくびょういん)でお願い出来ます?

俺も救急車に同乗しますので」

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