ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


「本当にごめんね、甘木さん……」

「いや、もう大丈夫だから気にしないで。ジャージも汚れなかったし!」

「そのジャージサイズ合ってないみたいだけど、借りたの?」

「うん、お兄ちゃんのなんだ」

「お兄さんか、よかった……」


 よかった??
 よかったって、何がよかったんだろう??


「あっ、なんでもない!とにかく本当にごめんねっ」

「うん、大丈夫」

「……優しいね、甘木さん」

「そうかな?」

「だって女の子の顔にボール当てるなんてひどいことしたのに」


 顔にボール当たり慣れてるからね、なんて言ったら引かれちゃうかな?
 変な子だとは思われるだろうな。


「だって、佐藤くんがわざとじゃないのわかるから」

「っ、甘木さん……あの、甘木さんっ」

「ん?」

「あの、よかったら――」
「莉茉ちゃん」


 名前を呼ばれてハッとした。
 声の主がわかった途端、わたしの心がパアッと華やぐ。


「依蓮くん!!」

「聞いたよ、莉茉ちゃん。怪我したの?」


 心配そうにわたしの顔を覗き込む依蓮くん。
 至近距離で見る依蓮くんの顔はあまりにも綺麗すぎて心臓に悪い。
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