ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 さっきもたくさんの女の子に囲まれてたし、その中の誰かに頼めばよかったのに。
 なんで私なんだろう?


「なんだよ、じっと見て。俺に見惚れてる?」

「ちっ、違うよ!」

「ふーーん?」

「てか亜蘭くん、どうしてうちの高校に編入してきたの?」

「実は莉茉が引っ越した後、俺も母親の仕事の都合で地方に行ったんだけどさ」

「そうだったんだ!」

「また母親がこっちに戻ることになったからついてきたってわけ」


 そうだったんだ。
 亜蘭くんが地方にいたなんて知らなかったな。


「言っただろ?いつか迎えに行くって」


 亜蘭くん、そんな昔のこと覚えててくれたの……?


「亜蘭くん……」
「おーい!千代崎くん!」


 その時、わたしたちの背後から先生の声がした。
 わたしはあんまり関わったことないけど、多分二年生の先生だ。


「あ、そういや職員室に行くように言われてたんだったわ」
「えーそうだったの?」
「わり、ここまでサンキューな」


 亜蘭くんはわたしの頭をポンと撫でると、先生の方に行ってしまった。
 触られたところがなんだか熱を帯びているような感覚になった。
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