ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜
確かにそれはそうなのかもしれない……。
どちらか一人の気持ちに応えて、どちらか一人の気持ちには応えられないんだと思ってたけど、それだけが答えじゃないんだよね。
「あとは二人ともと付き合うとかね」
「ええっ!?」
「冗談だよ。まあとにかく、ちゃんと二人と向き合って考えてみなよ。莉茉自身の気持ちとも向き合って」
わたし自身の気持ちと向き合う……。
そういえば、亜蘭くんに告白された時はキャパオーバーになって逃げちゃったな。
文字通りの全速力で逃亡しちゃった。
せめて次は逃げ出さないように、ちゃんと向き合わなきゃ。
そう思った途端、ピコンと通知音が鳴ってメッセージが届いた。
「手伝いに来い」
とっても端的かつ有無を言わさないこの圧力。
何だか逆に安心感を覚えていた。
* * *
「おー、来たか莉茉」
亜蘭くんに呼び出され、わたしは資料室に来ていた。
資料室の机には、大量の用紙が積み上がっている。
「亜蘭くん、これどうしたの?」
「今度球技大会やるんだけどさ、俺が実行委員になったんだよ」
編入してきたばかりでいきなり実行委員とは、すごいな亜蘭くん。