ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 確かにそれはそうなのかもしれない……。

 どちらか一人の気持ちに応えて、どちらか一人の気持ちには応えられないんだと思ってたけど、それだけが答えじゃないんだよね。


「あとは二人ともと付き合うとかね」
「ええっ!?」
「冗談だよ。まあとにかく、ちゃんと二人と向き合って考えてみなよ。莉茉自身の気持ちとも向き合って」


 わたし自身の気持ちと向き合う……。

 そういえば、亜蘭くんに告白された時はキャパオーバーになって逃げちゃったな。
 文字通りの全速力で逃亡しちゃった。

 せめて次は逃げ出さないように、ちゃんと向き合わなきゃ。
 そう思った途端、ピコンと通知音が鳴ってメッセージが届いた。


「手伝いに来い」


 とっても端的かつ有無を言わさないこの圧力。
 何だか逆に安心感を覚えていた。


* * *


「おー、来たか莉茉」


 亜蘭くんに呼び出され、わたしは資料室に来ていた。
 資料室の机には、大量の用紙が積み上がっている。


「亜蘭くん、これどうしたの?」

「今度球技大会やるんだけどさ、俺が実行委員になったんだよ」


 編入してきたばかりでいきなり実行委員とは、すごいな亜蘭くん。
< 39 / 62 >

この作品をシェア

pagetop