ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 耐え切れなくなって大声をあげた。

 こんな空気、耐えられない!!
 そしてもう色んな意味で限界だよ!!


「二人ともいい加減にしてよ!!腕離して!!」

「ご、ごめんね」

「悪い」


 二人ともパッと腕を離してくれた。


「二人は兄弟なんでしょ?仲良くしてよ……!」
「無理だな」
「無理だよ」


 おお、めっちゃハモった!!流石双子、息ピッタリ!
 ……なんて言ってる場合じゃない、二人とも「無理」って言った?


「たった今からこいつは敵になった。敵と仲良しごっこができるかよ」

「て、敵って……」

「敵だよ。好きな子を奪い合うライバルだ」


 依蓮くんまでそんな言い方するなんて……。
 しかも奪い合う好きな子って――、まさかのわたしですか……?


「おい依蓮、俺の考えてることわかるか?」
「何となくね」
「フン、腐っても双子だな。なら俺は遠慮なく行かせてもらう。弟だからって容赦しない、莉茉は俺のものだ」
「俺だって、絶対に負けない。莉茉ちゃんのこと絶対振り向かせてみせるから」
「お前にできんのかよ」
「その言葉、そのまま返すよ」


 いやいや、ちょっと待って??
 あまりにも急展開すぎるよ。ついていけてないの、わたしだけ??


「覚悟しとけよ、莉茉」
「覚悟しててね、莉茉ちゃん」


 そんなこと言われても、何の覚悟をすればいいというのでしょうか。
 火花を散らす二人と蚊帳の外なわたし。

 とりあえず確かなことは、どうやら二人のお兄ちゃんから迫られているようです――。
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