ハニーレモンとビターチョコ〜双子の兄の溺愛注意報〜


 ふと、亜蘭くんに聞いてみたくなった。


「ねぇ亜蘭くん」

「ん?」

「亜蘭くんは、わたしのどこが好きなの……?」


 自分から聞くのは少し恥ずかしいと思いつつ、聞いてみたくなった。
 だってわたしなんてただのスイーツバカなのに。


「さあ、どこだろな?」

「えっ!?」

「わかんねぇ」


 わかんないってそんな!!
 やっぱりわたしのことからかってない!?


「つーか好きなことに理由っている?」

「え?」

「気づいた時には好きだって思ってて、俺だけのもんにしたいと思ってた。それだけじゃダメなの?」

「……っ」

「莉茉の笑った顔も怒った顔も、全部独り占めしたいって思っただけだよ」


 そう言って微笑む亜蘭くんがあまりにもカッコよくて――ドキドキしてしまうのに何故か目はそらせなかった。

 意地悪だしすぐにからかうし、本気かどうかわかりにくい。
 でも亜蘭くんは、時々ものすごく真っ直ぐな瞳でわたしを見つめてくれる。

 ほろ苦さの中に隠された極上の甘さ。
 やっぱり亜蘭くんはビターチョコみたいだなって思った。
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